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1.Crossing the Threshold 敷居をまたぐチェーホフのいう、「Crossing the Threshold」エクササイズは、俳優が日常生活から演劇のクリエイティブな世界に入る移行として捉えています。稽古に入るときと、稽古から日常生活に戻る切り替えです。 敷居をまたいで、稽古場に入る前に、日常生活から離れるという心の中のイメージを行いましょう。どんなイメージを使っても構いません。例えばこのようにイメージの中、あなたは行動します。あなたは、不安や関心事を箱の中に入れ、木の下に埋めます。そして一笑するかもしれないし、離れたいと思うかもしれません。いずれにせよ、稽古場を離れるときにはもう一度取り戻すこともできることを知っています。もし、新しい不安や雑念が浮かび上がってきたり、古いものが舞い戻ってきても、稽古中でも同じ事ができます。 |
2.Making Contact コミュニケーションをとるこのエクササイズの目的は、お互いがリラックスして、助け合いの空気を作ったり、自信を深めたりすることです。誰しも、自分自身や相手に、不安や恐れがあるものですから。 手をつないで、輪になって立ちます。一人一人がみんなを見渡せる状態です。これは、みんなに対してオープンな態度になってこそできるものですので、進んでコミュニケーションをとれる心構えでいましょう。誰かに対してネガティブな気持ちがあるのなら、それはどこかに外しておきましょう。あなたをつなぐ輪を意識します。お互いがつながった感覚が出来たら、手を離します。でも、輪と一体感はキープしてください。 |
3.Confidence 自信「自信」という感覚、もしくは「よくやった」という感覚を俳優は持つべきだとチェーホフは考えます。終演後、演技がよかったにせよ、悪かったにせよ、様々な批評が自分の中に沸いて出てきます。絶えずネガティブなことを囁きかけるそれを、チェーホフは「デビル」と呼びました。 「よく出来た」という感覚を持ちながら、なにか物を一方の手からもう一方の手へと投げます。どんどんと「よくやった」という感覚を膨らませていってください。気詰まりに思うことはありません。あなたの性格自体がそうであっても、俳優としては違うのです。 |
4.Concentration 集中部屋にある何かの物体に目を向けましょう。何でも構いません。その形や色をよく見てください。そして、その物体とあなたとをつなぐエネルギーの流れがあることをイメージしてください。正しくできているかどうかは気にしなくて結構です。そして、あなたはその物体の横に立っており、それをさわることも、もちあげることもできるとイメージしてください。あなたの全身はその物体とつながっているのです。 |
5.Significance 全て間があり意味があるチェーホフは、「全てのアクションは、芸術の小さな部品である」と教えました。一つのアクションを終え、次のアクションに移るときに間があります。それが僅かであっても。例え、身体が止まっているように見えたとしても、内部のプロセスはあり、次のアクションへと変化していっているのです。 静止した、「間」から、服を着る、もしくは脱ぐというアクションを行います。アクションの途中で、「間」を作ります。この間のあいだに続けるか、やめるか、もしくはスタートに戻るかを選択します。終わりは、間で終わります。 |
The Four Brothers 「フォー・ブラザーズ」 ・The Feeling of Ease 「安」の感 ・The Feeling of Form 「形」の感 ・The Feeling of Beauty 「美」の感 ・The Feeling of Entirety/The Whole 「全」 の感 |
6.The Feeling of Ease 「安」の感あなたの人生で、気持ちが軽く、喜びに溢れ、安心して過ごしていた時を思い出してください。そしてまた、あなたの気持ちが重く、みじめで、イライラしていた時を思い出してみてください。その異なる感覚は、どのように体に影響を与えているでしょう。それでは、気持ちが軽くて安心している感覚を手に入れましょう。これが「安」の感のスターティングポイントです。 片膝をつきます。そして「安」の感を持った状態で、立ち上がります。 |
7.The Feeling of Form 「形」の感静かに立ち、一つの「形」である自身の身体を意識します。最初は外側から感じます。空間の中にある身体の輪郭を感じるのです。そして全体の形として、内部も感じます。ジャッジメントを避け、感じたことはなんでもそのまま受け入れます。 |
「安」の感をキープしながら、自由に動きます。最初はゆっくりとした単純な動きで。そして身体からわき起こってくる動きの中の快感を感じるようにします。それは非常に微妙であるかもしれませんが、受け入れましょう。どのように自分から放出されているか気づくでしょうか。無理に気づかなくていいです。自分のペースで感じてください。安楽で軽い感覚を伴って、喜びの感覚が出てきます。 |
9.The Feeling of the Whole / Entirety 「全」の感 スタジオに来る前の一日を、少し時間をとって振り返ってみます。初めから終わりまでのシーンが明確になり、つながりも見えてくるまで何度も振り返ります。次に、たくさんの異なる無関係の出来事もあって、複雑な全体となっていることに気づいてください。 |
チェーホフは、出演者と観客を結びつけるものとしてアトモスフィア(空気・雰囲気)を重要視しました。これがつくられると、観客を取り込むこともできるのです。 |
Mouldとは、形作ることです。まるで粘土のように、あなたの周りの空気を形作ってみましょう。最初は両手で、それから徐々に全身を使って。動きを大きく、大胆にしていきます。一つ一つの動きが、空気中に跡を残すようなイメージをもってください。スピードや強さを変化させます。しかし、安の感を持続しています。 |
水のように流れます。一つ一つの動きが明確であり、切れ目ない水のように次につながります。優雅でなめらかです。 |
全身が軽く、風が吹いただけで浮き上がってしまうような感覚を持ちましょう。風になったように、ひとつひとつの動きを繋げて、流れを作ります。止まったら、内部の感覚の変化に注意を向けてみます。 |
ひとつひとつの動きが、強力なエネルギーを持っています。全身から空気中へ、エネルギーが放射されているような感じです。まるでオーラを放っているかのように、まるで漫画の世界の主人公になったかのように。止まったら、内部の変化を感じてみましょう |
15.Imaginary Bodies イマジナリー・ボディー なにか想像でボディーを考えます。原型のリストからでもいいし、映画や小説からでも、全くの想像で生み出した人物でも構いません。絵に描いてみてもいいでしょう。 |
マイケル・チェーホフは、稽古場での雰囲気として、「温かさ」「親密さ」「自由さ」を求めています。また、「楽しい」ものであることも認識しています。