別役慎司のアクティングスクールは
WIAS

待望のインプロヴァイゼイション集が出版されました! ここには収録されていないインプロが多数あります。

 

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IMPROVISATION
*無断転載・複製を禁じます。
(01)歯医者
A:リラックスしている。特に大きな虫歯もない。今日は単なる定期検診である。
B:ナーバス。ここ数年歯医者から遠ざかっていたが、もう限界。

リラックスと緊張
全く対照的な心理状態の二人。行動や素振りも対照的になっているはず。
緊張状態とリラックス状態、外から見てどのような点に違いがあるだろうか?
職業と年齢を指定してやってみよう。Aは20歳学生。Bは40歳サラリーマン。
(02)成績表
A:勉強がすこぶる出来ない。成績表を見ると、ほとんど1か2。
B:勉強がすこぶる出来る。成績表を見ると、ほとんど5。

落胆と余裕
その人物にとって、成績が予想通りだったのか、予想通りでなかったかによって、成績表を見たときの反応が違う。
会話をしていないときと会話をしたとき、臨場感に違いはあるだろうか?
本心と違う態度をとってみよう。Aはガッカリしているのだが明るく。Bは嬉しいのだが謙遜してみる。
(03)映画館
A:クライマックスになるとともに興奮する。
B:落ち着いている。既に観たことがあるから展開がわかっている。

興奮と落ち着き
何を観ているのかよくイメージしなければ、外で見ている側に気持ちが伝わってこない。
映像としてイメージすることは感情の表現において有効だろうか?
AとBをカップルと設定してやってみよう。
(04)映画館2
A:泣けるシーンになるとともに感極まってくる。
B:現実には起こらないと思ってしらけている。

感動と冷淡
その人の気持ちがちゃんと見ている人にも伝わっているだろうか。無理に感情を表そうとしていないだろうか?
演技で涙を流すことについて考えてみよう。簡単?難しい?必要?目薬を使った演技との違いは?
家でカップルが観ていると設定してやってみよう。
(05)賞の発表
A:自信がある。勝利を確信している。
B:自信がない。敗北を確信している。

自信と諦め 優越感と劣等感 緊張
緊張感のなかに見せる人の仕草がよく表現されているか。賞の発表後の反応も大切。
自信があるときとないとき、行動や仕草にどのような違いがあるか?
賞の発表までやってみよう。Aが選ばれるバージョンと、Bが選ばれるバージョン両方試してみよう。
(06)カジノ
A:いきり立っている。かなり負けている。
B:興奮している。かなり勝っている。

不機嫌と上機嫌
臨場感が伝わるだろうか。金額が大きければ大きいほど、昂揚したり、激怒したりの感情表現がはっきりと表れる。
今勝った、今負けたなら感情表現はしやすいが、勝ち負けが続いているときは感情も持続されなければならない。感情の持続の難しさは?
スロット、ポーカー、ブラックジャック、競馬、競艇など、好きな設定でやってみよう。
(07)ルームメイト
A:怠け者。掃除することにエネルギーを使いたくない。座る場所とTVを見る場所があれば充分。今はTVを見ていたい。
B:きれい好きの働き者。掃除してきれいにしたい。部屋を汚なくしないでほしい。今から洗濯物をきれいにたたみたい。

怠け者と働き者 説得 イライラ テンポ・リズム
AとBでは行動の機敏さも、気持ち的な張りも違う。その人物のテンポ・リズムの違いがよく出ているだろうか?
性格と行動の関係について考えてみよう。
実際に部屋に脱ぎ散らかした靴下や食い散らかしたスナック菓子など、置けるだけの物を置いてみよう。そしてBの心理的な影響を比べてみよう。
(08)モデルハウスの見学
A:気に入らない。この家のあら探しばかりする。
B:気に入った。この家の長所ばかりに目がいく。

不満足と満足 イマジネーション 描写
家をよくイメージして、描写が出来るか。外から見て、家の内観がイメージできるか。
あらかじめイメージしておくのと、その場でイメージしていくのと、どちらがいいだろうか? 両方ならばそのバランスは?
AとBの関係を変えてやってみよう。例えば夫婦、親子、兄弟姉妹。
(09)街頭テレビ
A:自分の応援する野球チームが勝っている。
B:自分の応援するチームが負けている。

上機嫌と不機嫌 表と裏
周りの目は意識しているが、思わず中継の内容に反応してしまう微妙な所が見えればgood。
気持ちを隠しながらも、外から見て、その気持ちや隠していることがわかるにはどうしたらいいのだろうか?
ここは大阪で、巨人−阪神戦。巨人が勝っていると想定してやってみよう。
(10)美術館
A:とても洞察力があり、抽象的な絵画から様々な意味や作者の意図を読み取る。
B:絵がさっぱり理解できない。形や色がごちゃごちゃして意味がないもの、子供の落書きに過ぎないと思う。

賞賛と批判 描写 イマジネーション 主張 
絵をイメージして様々に説明する頭の回転と描写力に注目。
その場でイメージし描写する頭の回転は、俳優にとって必要な能力だろうか?
絵の解釈について、詰まらず止まらず、説明し続けてみよう。

(11)映画の感想
A:観た映画がとても気に入った。アクションやCG効果など、素晴らしいと熱を込めて褒め称える。
B:ハリウッドらしい、金をかけたスペクタクル重視の作品だったので、辟易としている。

感動と冷淡 主張 イマジネーション
本当に観たような臨場感をもって映画について語れるか。相手に負けない映画論を展開できるか。
映画を観ることは演劇をやる人間にとってどのようなメリットがあるだろうか?
インプロとしてではなく、自己の映画論をみんなで闘わせてみよう。

(12)レストランでのアルバイト
A:入ったばかりで右も左もわからない。先輩Bは忙しそうだから聞きづらい。とにかく思ったように動く。
B:ベテラン。Aが最低限のことくらいは出来ると思っている。が、どうやらAはとんちんかんなことばかりしていることに気づく。二人分は仕事量をこなしながらAに注意・指示する。

自信と不安 イライラと緊張
Bはバイトの実体験を生かしてテキパキとこなしてほしい。逆にAは、コメディーにするつもりで予想もつかないことをしてほしい。
実体験のある人と実体験のない人の演技では差が出るだろう。具体的にどういう点が差になっているように見えるだろうか。
客や他の従業員も参加し、グループワークとしてやってみる。
(13)片づけ
A:片づけ終わったら、遊びに行ける。久しぶりに旧友と会う。そのため非常にスピーディーに片づけをしていく。
B:この後の予定がない。だるい。そのため非常にスローリーに片づけをしていく。

急と緩 明と暗
二人の心情が、その通り行動のコントラストになればいい。AはBをあまり気にしなくていい。気にするとイライラになるからだ。どこでの、なんの片づけかは自由に決めてみよう。
テンポの違いだけでなく、動きの効率さに目を向けて違いを見つけてみよう。
更にC:この後約束がある。既に相手は待ち合わせ場所に来てるという。急いで片づけを済ませて出ていきたい。を付け足す。
(14)バイト終了
バイト:朝から晩までのバイトで疲れ切っている。早く帰って眠りたい。
正社員:夕方からの仕事でまだまだ元気。店内をいつもよりきれいに掃除して帰りたい。

疲労感と元気
疲労感は具体的に身体のどの部分が感じているだろうか。ただ「疲れている」ではなく、足がパンパンに張っているなど状況に即した演技が出来ているか。それと、店内をよくイメージしておくこと。
「職業病」というのがあるが、その職業のなにが原因で、どういう症状が起こっているのか。調べて発表してみよう。
バイトと正社員を逆にして行ってみる。
(15)ジョギング
A:休憩中。ひどい運動不足。2キロで限界。
B:体操中。ちょうど気持ちよくなってきた。まだまだ走れるので、あと2,3キロは走りたい。

疲労感と元気
2キロ走ったあとの状態ということがまず意識できているか。演技としてはいきなり疲れるわけだが、わざとらしくなっていないだろうか。
走ったあとの状態として、外面的に見える要素はどんな点があるだろうか。例えば、息が切れているなど。
C:サボり中。後ろから歩いてくる。を追加してみる。
(16)バス停
A:せっかち。時刻表の時間より5分過ぎているので、かなりイライラしている。
B:のんびり屋。あまり気にしていない。すぐにバスが来るだろうと思っている。

せっかちとのんびり
イライラの表現は、ステレオタイプになりがち。気持ちが伴っているかどうかをチェック。
双方の振る舞いにどういった違いがあったのかを指摘してみる。
性格的な要素ではなく、どれだけ急いでいる用事があるかだけを設定して行ってみる。
(17)凶兆
A:迷信深く、神経質。道を歩いていて、今日は黒猫が横切ったり、カラスが頭上を飛んだりと不吉なことばかりが起こっている。心配でたまらない。
B:一緒に歩いている。ただの偶然だと思う。

迷信派と現実派
よくないことが起こりそうだという不吉なイメージが不安な感情を引き出す。Bは不吉なイメージを聞いても現実的でなく、ピンと来ない。
目つきや視線の違いはどうであったか振り返ってみよう。
Aは財布を落として、Bと一緒に探しながら道を歩いているという設定にする。
(18)ホテル
A:Bと共に旅行に来た。起きたらチェックアウトの時間間近で驚く。急いで荷物をまとめる。
B:寝ぼけている。眠たいのでBに急かされても身体が動かない。

急と緩
スーツケースに荷物を詰めたり、着替えるという動作がいい加減にならないように。
海外旅行のパンフレットなどを参考に、ホテルの内装を明確にイメージした上でやってみる。
(19)楽屋1
A:差し入れや贈り物がたくさん届いている。感激。今日の舞台にも気合いが入る。
B:なにも届いていない。寂しい。自前の栄養ドリンクを飲んで、今日の舞台へ気合いを入れる。

明と暗 イマジネーション
対照的な心境のなか、BはAのはしゃぎぶりにどう反応しているかも着目したい。Aはイメージを豊かにし、内面から喜びや活力が見えるように。
気分の違いはテンポ・リズムに影響している。分析してみよう。
3名以上の設定とし、一人だけがなにも届いていない。
(20)楽屋2
A:今日の出来はよかった。大満足。
B:台詞のミスがあったり、思うように感情も出てこなくて、最悪の舞台だった。

明と暗 ビフォア・タイム
表面的な感情ではなく、具体的にどんな舞台だったかをイメージできているかが大切。感情の根拠を持っているか。
グループでやってみる。トランプを用意して、あらかじめ1枚引き、その数字が高いほど出来がよかったという設定。
(21)ロッカールーム
A:試合に負けた。敵は反則すれすれの汚い手ばかり使ってきて、頭にきている。
B:試合に負けたのは自分たちが弱かったから。敵は確かに汚い連中だが、文句をいっても仕方がない。冷静に敗北を受け止めている。

冷静と怒り ビフォアタイム
ただ書かれている設定をなぞるのではく、このインプロも試合のイメージを使って感情の根拠を作りたい。
グループでやってみる。一人だけ、足を引っ張った選手を作る。
(22)レストラン
A:注文した料理が予想に反してものすごくまずい。
B:注文した料理が期待通りものすごくおいしい。

明と暗 味覚
料理の味を感じられるところまでイメージできるか。
得意な五感はなんだろう。
C:空腹で倒れそうなのに、自分の料理が全然来ない。を追加する。
(23)ニュース
A:ある大企業で、部下の過失のために大変な事態になり、社長らが謝罪会見をしているニュースを見る。かわいそう。
B:部下の責任は全て上司にある。これで会社が傾いても当然、と冷静に見ている。

冷淡と同情
Aは表情がメイン、Bは言葉がメインの表現になるだろう。
コミュニケーションの三大要素「言葉」「ジェスチャー」「表情・目」についてディスカッションしてみる。
イメージではなく、実際にあった事件の新聞記事を見ながらやってみる。
(24)ランチ
A:おしゃべり。自分のことを話したくてしょうがない。
B:寡黙。うなずいているが、自分から話すタイミングを見つけられない。

多弁と寡黙
ランチなので、喋る・聞くという行動プラス食事をするというのがある。また、食事以外にも携帯を見たりするかもしれない。このダブルフォーカスに対処できているか。
お互いが相手にどんな印象を抱いたか確認してみよう。
Aは絶対に途切れず、喋り続ける。話が止まってしまったら終了。
(25)セミナー
A:有名な社長のセミナーに参加して興奮している。早速、出版本は全部手に入れたい。
B:金儲けの事ばかりで感心できない。このセミナーも参加費が高いばかりで、内容はどこの本にでも書いてあるような普通のこと。あんな経営者にはなりたくない。

尊敬と軽蔑
感情の元となる社長のイメージやセミナー内容を具体化する必要があるが、細かい内容は二人の会話の中で構築していってよい。
価値観の違いは、同じ対象物でも全く異なる感情を抱かせる。なにか好きなテーマを元に話し合ってみよう。
セミナーを行った社長を登場させる。懇親会に移り、社長と話す機会ができたと想定する。
(26)ビュッフェ
A:お腹いっぱい。ほとんど全種類食べ尽くした。
B:遅れてきた。ものすごくお腹が空いているのに、料理はほとんど残っていない。

満腹と空腹 満足と落胆 味覚
空腹感、満腹感は日常茶飯事で体験しているが、それを演技として表したときにどう見えるか。料理のイメージや味覚の記憶を使えるように促したい。
味覚の記憶は個人差がある。どのくらいイメージで口の中に味を再現できるか試してみよう。
C:周りはみんな上司なので、ずっと料理を取ってあげてばかりで自分の分が食べられない。本当はすごく食べたい。
  D:上司。高級な料理ばかり食べ、ワインをガブガブ飲んで、酔っぱらっている。
(27)マッサージ
A:健康。マッサージを受けて、極楽気分。
B:不健康。マッサージがものすごく痛い。

快感と悶絶
誰かがマッサージ役としてつく。ただし、力を入れないでやること。あくまで演技者がコントロールする。気持ちよさと、痛さがリアルに出ているか。マッサージ役は、接客態度も意識しておくこと。
実際にマッサージを受け、その本物の反応とどう違っていたか、チェックしてみよう。
職業を決めてやってみよう。その職業にまつわる会話も生まれるはずだ。

(28)サウナ
A:80℃のサウナ。サウナは大好き。気持ちいい汗をかいており、まだまだ辛抱できる。
B:サウナに慣れていないのでつらい。でも負けたくない。

余裕と負けん気 忍耐
実際には80℃ないが、サウナ室の暑さを感じて表現しなければならない。サウナに入ったことのある人は感覚の記憶が使える。
イメージの力で汗はかけるか? 汗はかけないまでも身体になんらかの変化は感じるだろうか。
続きを行う。サウナを出て、水分補給しながらベンチで休んでいる。Aは非常に気持ちいい顔をしているが、Bはへとへとになっている。

(29)相談
A:仕事も恋愛もうまくいかない。自分ではなにが悪いのかわからない。生きているのが楽しくない。
B:Aの知人。Aの相談に乗っている。親身になっている素振りをしているが、内心はどうでもいい。

深刻と親身 表と裏
Aはネガティブなエピソードを語ることと感情が連動しなくてはいけない。一方、Bは励ます言葉と表の感情は連動しているが、裏の感情とは連動していない。
第三者から見て、本気で親身になっていると思えた時はいつで、内心どうでもいいと思えた時はいつだったろう。
Aは、深刻そうに話すが、話の内容はものすごく些細なこと。例えば、「今日、グラスを割ってしまったんだけど、不吉なことが起こる予兆なのかな。それとも、私の身体のどこかがおかしいのかな」というように。
(30)忠実なる家臣
殿:家臣を、誠実で賢く信頼のおける男だと思っている。ずっと、自分を助けていってほしい。
家臣:自分がいなければなにもできないバカ殿だと思っている。忠臣を演じているが、本当はやってられない。

表と裏
城の中で、殿や家臣がどういうことをしているのかイメージがしにくいだろうが、あまりこだわらずにやっていい。ドタバタコントをやりたくなるかもしれないが、真面目に行うことで、家臣の気持ちがより伝わり、コントラストがはっきりするということを教えたい。
時代物をやるときはどういったことを考えなければいけないだろうか。
他の家臣たち:殿の世話は気苦労が絶えない。家臣たちは陰で悪口をいって、ストレスを解消している。を追加して行う。
(31)釣り
A:よく釣れる。絶好調。
B:全く釣れない。絶不調。

上機嫌と不機嫌 明と暗
シンプルなコントラスト。釣りは「待ち」が必要。インプロをしていると、なにかしなければならないと思って無駄に動きがちだが、じっくりやって結構。
見ていた人は、感情の流れがどうであったか、指摘してみよう。
どちらが好調、不調ということは決めず行う。魚が食いついた合図は、トレーナーが送る。釣り竿でもあれば、糸を引っ張ってあげよう。
(32)ブランドショップ
A:貧乏だが、このブランドにすごく憧れがあり、店内に入った。緊張しながらも、なけなしのお金で買えるアイテムを探すが、どれも手が届かない。
B:金持ち。新作を中心に、いくつか購入する。

貧乏と金持ち
Aの緊張した肩身の狭い振る舞いと、Bの余裕で自信のある振る舞いとがコントラストとなる。
内面が伴っていないと、見た目も金持ちそうに見えなかったりする。その他、貧乏そうに見えた点、金持ちそうに見えた点を確認してみよう。
Aは同じく貧乏な友人と一緒に来ている。Bもまた同じく金持ちの友人と一緒に来ている。
(33)デート
A:ディズニーランドに来ている。Bのことが大好き。一緒に楽しみたい。
B:Aのことはもう好きではない。全然楽しめない。

好きと嫌い 高揚と冷淡
恋愛はドラマや映画に多いのでイメージしやすいと思うが、イメージしやすいものほどベタな演技になりやすい。安易な演技で納得しないよう危機感を植え付けたい。
手をつないだり、腕を組んだりする演技に抵抗感がある人は、どのように解消させていけばいいだろう?
ディズニーランド内でバッタリBの前の彼氏(彼女)に出くわす。

ペア コントラスト

主にペアで行いますが、応用では複数でのインプロを提案しているものもあります。

コントラストは「対照・対比」

お互いの立場や関係性が対照的になるものです。したがって、とても言葉を喋るよりも、黙ったままの静かな演技になります。自然で何気ない演技の中に二人の関係性が浮き彫りにならなければなりません。

*使用されるマーク
」エクササイズで主となるテーマです。
」トレーナーが注意して助言を与えたいポイントです。
」全員で討論したいポイントです。
」応用です。状況設定に新たな情報が加えられています。
イントロダクション

ペア コンフリクト

ペア コントラスト

グループ インプロ

ソロ インプロ
STONEψWINGS