待望のインプロヴァイゼイション集が出版されました!
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インプロヴァイゼイションとは、即興稽古のことです。この名称にはあまり馴染みがないことでしょう。エチュードといえばピンとくるかもしれません。しかし、エチュードとはまた別のものなのです。エチュードとは、短いテキストや筋書きがあって、それに基づいてシーンを演じるものです。日本の俳優訓練において、エチュードは主たる役目を負ってきました。エチュードのような形で生徒に演技をさせ、講師がダメ出しをするというのが日本でよく見る俳優訓練です。これは、日本の学校教育が古く遅れているのと同様の評価があてはまります。「ダメを出す」というやり方では、生徒は余計緊張して思うように演技が出来ませんし、ダメなところをいわれるばかりでは、生徒の自由な創造力を腐らせてしまいます。自由に演技をさせ、可能性を引き出してあげること、そして生み出させれたその人なりの演技をほめてあげことです。もちろん欠点はたくさん目に付くでしょう。それらを修正するのは生徒たちです。生徒たちに考え発言させ、講師は豊富な経験を生かして正しい方向に導いてやるのが理想的な俳優訓練といえるでしょう。 日本の俳優訓練は「経験」を積ませ、次第に「技術・技能」が身に付くというパターンですが、欧米ではその逆です。「技術・技能」を養わせながら「経験」を積ませていくというパターンです。この違いの根底にあるのは、俳優訓練法の発展度です。というのは、欧米は、いかに俳優が効率よく演技の重要要素を習得し、独創的な表現力ができるようになるかをよく研究しているので、まず「技術・技能」を指導するのです。日本は、どうすればいい演技が出来るようになるかの研究が進んでいないので、とにかく演技をさせて、ダメなところを指摘して直させるという手段を取るのです。 これらのインプロヴァイゼイションがエチュードと異なる大きな点は、「技術・技能」習得を狙ってシンプルな状況を多彩に設定しているということです。これは俳優が創造できる可能性を多分に残しているということにもなります。本書では、現場の経験から、効果の分析及び生徒たちで考えさせる着目点を示しています。トレーナーは、これらを参考にして、生徒を導いてください。 インプロヴァイゼイションは、初心者からプロまで、楽しく演技を練習できます。演技の基礎に不安のある人や、自分自身を外に出すことが出来ない人、緊張しがちの人、舞台でリアリティーに欠けテキスト通りに演じたりわざとらしく表現してしまいがちの人にも最適です。誰でも、自分から自由に表現できるようになります。
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