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ヴァイオラ・スポーリン
INTRODUCTION : BIOGRAPHY
概要・伝記

演劇教育者であり、演出家であり、女優であり、なによりも「シアターゲーム」という俳優訓練を国際的に認知させた人物として功績がある。ヴァイオラ・スポーリンは、最初1924年から26年まで、セトルメント・ワーカーになるためシカゴのNeva Boyd's Group Work Schoolに通う。ボイドのグループ・リーダーシップや、レクリエーション、ソーシャル・グループ・ワークの革命的な教授法は、スポーリンに強い影響を与えた。伝統的なゲームの骨組みは、スラムや移民の子供たちの社会的活動に影響を与えていた。

1939年から41年まで、彼女はWorks Progress Administrationのレクリエーション・プロジェクトにおいて、シカゴ支局の演劇監修をつとめていた。その時に必要性を感じたのは、WPAプロジェクトのなかで、文化や国籍の障壁を越えて、いかにわかりやすく演技訓練のシステムをつかめるかどうかであった。ボイドの仕事の経験を発展させ、彼女は個人や創造性にフォーカスを当てた新しいゲームを、個人の創造的な自己表現力を開放させるため、演劇として適応させた。これらがのちに「シアターゲーム」として体系化される。「ゲームは必要から生まれた」と彼女は語っている。

1946年、スポーリンは、ハリウッドにYoung Actors Companyを設立。シアターゲームを通して、舞台で演じることを目的に子供たちを教育した。この活動は、スポーリンがPlaywright's Theater Clubでの演出のためにシカゴに行く1955年まで続いた。そしてそのことは、the Compassという最初のインプロのプロ団体でのワークショップへと発展した。1960年から1965年までは、息子のポール・シルズと共に、ワークショップ講師として、ポールの市民劇団で働き、シアターゲーム理論を発展させていった。そして1963年、ついに「Improvisation for the Theatre」が出版されることになる。この本には、約220種類のゲーム・エクササイズが収録されている。そして、演劇分野での教育者並びに演技講師の参考書として使用されるようになった。1965年には、息子と共にシカゴに、the Game Theaterを設立した。週に一日だけ行われ、観客が直接的にシアターゲームに参加できる形をとった。つまり、インプロアクターとそれを見る観客との間の従来ある壁を取り払った形である。この実験は、ある程度の成功を収めたが、数ヶ月後にクローズされた。

1970年から71年においてのスポーリンの仕事は、ロスやニューヨークでの息子のStory Theaterの特別顧問を務めることであった。西海岸においては、「Rhoda」やテレビシリーズ「Friends and Lovers」でワークショップを行い、また映画「Alex in Wonderland」に出演したりした。

1975年「Theatre Game Files」が出版されたことによって、彼女のシアターゲームの仕組みが、より教室の講師にとってわかりやすく使えるようになった。1976年、彼女はthe Spolin Theater Game Centerをハリウッドに設立した。1979年には東ミシガン大学の名誉博士号を授けられ、最近までシアターゲームセンターで教え続けた。1985年には新著「Theatre Games for Rehearsal: A Director's Handbook」が出版された。

スポーリンのシアターゲームはシンプルである。複雑な演技のルールや技術を取っつきやすいゲームの形に変えている。一つ一つのゲームは、ある特定の目的にフォーカス当てていたり、技術的な問題に関係している。自己の殻に閉じこもった演技を妨げるエクササイズでもある。

演技とは、自然に、また自発的に起こるものである。年齢や境遇、満足とは無関係である。エクササイズというのは、批評ではこう書いている。「ほとんどバカになるくらい自発的な状態にさせるシステム」(Film Quartely, Fall/Winter 1963) ゲームは自由にさせる効果があり(自己実現という意味では広く応用できると説明している)、演劇の中でも、一つ一つが明らかに表現技術という面で効果を上げる。俳優の緊張を解き放つゲームもあるし、言葉ばかりに囚われる俳優の主観的な癖を洗い上げるゲームもあるし、関係性のゲーム、キャラクターのゲーム、集中のゲームなどがある。要するに、俳優が成長していくために焦点を当てていかなければならない要素のためにゲームがあるのだ。
スポーリン・ゲームの特徴的な用語としては、以下のようなものがある。身体化-physicalization-(示すこと、言葉を使わずに)、自発性-spontaneity-(精神)、直観-intuition-(身体と精神をつなぐ、感覚を超えた、枷のない知識)、変化-transformation-(俳優と観客が受けるものは似ている。それは、表出する新しいリアリティー)。これらの目的を達成するために、シアターゲームに必要なのは、簡単なゲームのルールと、それを行うための場所である。(俳優も観客も、同じくプレーヤーだとみなされる。)
ゲームが内包している、ゲームをすることによる実感できる快感を超えて、我々は感性を高め、自意識を深め、グループや仲間間のコミュニケーションを培う。その結果として、スポーリン・ゲームは、俳優訓練を超えて発達・普及してきた。すなわち、自己意識プログラムや、ノン・ヴァーバル・コミュニケーション研究などに波及していった。ヴァイオラ・スポーリンのシステムは、アメリカ国内を通して、大学や、地域社会やプロの俳優訓練プログラムに用いられるだけでなく、特に演劇と関わりのないように見える教育の現場でも関心を集めている。

 

main source by The Spolin Center Viora Spoin Biography http://www.spolin.com/violabio.html

シアターゲームを、「楽しんでればなんとなく効果があるんじゃない」と位に捉えている人が日本では多いかもしれない。
一つ一つのゲームが、ちゃんと目的・効果を意識して考案されている。従って、トレーナーは、目的や効果を考察しなければならない。
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